2.調査内容
遠隔海域での海洋石油等開発において、浅海操業用施設を使用した場合の環境保全・労働安全に関する指針等の検討に資する調査との目的に照らし、以下の調査を実施しました。なお必要に応じて、その他検討に必要な項目についても調査に含めました。また調査では、豊富な経験を有する専門コンサルタントを起用し、その経験及び情報収集能力も活用しました。
2.1 遠隔海域における石油ガス開発状況の概要
インターネット、文献、市販資料を通じて、遠隔海域における既存操業事例に関する開発の概要についての情報を収集してまとめました。すなわち諸外国の操業事例に関し、項目として海域、水深、離岸距離、設備のタイプ・概要、生産量、オペレーター、操業開始年度を表にまとめ、あわせて参考のため我が国沿岸海域の操業事例についても調査しました。
2.2 遠隔海域の開発、操業における環境安全ハザード
既往のスタディからの知見や公開されている各種資料の確認等により、海洋石油開発の環境安全ハザードと対策を整理しました。まず、一般的な環境保全面および労働安全面のハザードを抽出して整理した後、事例の多い北西ヨーロッパ大陸棚および米国メキシコ湾について遠隔海域に特有なハザードに対する考察を行いました。
2.3 海洋石油開発における環境安全関連の法体系
遠隔海域での石油開発に実績のある英国・ノルウェー・米国について、上記の調査により抽出したハザードに関連する法体系について、まず基本理念および枠組みについて調査しました。さらに、安全対策、環境保全、遠隔海域、緊急事故対策、国際条約・協定等について、検討に必要となる内容について情報を整理しました。
2.4 海洋石油開発における環境安全対策の実施状況
諸外国の事例から我が国にとって参考になると思われる操業事例をいくつか選定し、オペレーターおよび必要に応じて監督当局を訪問して、リスクファクターへの対応の考え方および法規制への対応を含む具体的な対応策について聞き取り調査により詳細情報を収集しました。
項目 |
英国・ノルウェー(北海) |
米国(メキシコ湾) |
(1) 安全関連一般 |
- 安全上の課題(多くあげられたもの)
- 労働者の資質/安全行動 (特に重視)
- 施設の老朽化
- 火災・爆発
- 管理システム
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- 安全上の課題(多くあげられたもの)
- 労働者の資質/安全行動
- 火災・爆発
- クレーン作業・ヘリコプター運航
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(2) 環境関連一般
(流出事故/越境汚染対策を含む) |
- 環境上の課題
- 海洋生物への影響
- 大気放散(フレア、排ガス)
- 生産水の海洋排出
- 廃棄物管理(堀屑、泥水)
- 化学物質管理
- 距離による緊急時の救出時間の増加
- 距離による緊急対応の遅れ、支援の遅延
- 一般に遠隔海域では気象/海象情報が少ないので、対応が遅れがち
- 一般に沿岸部の方がセンシティブ。環境影響が大きい。
- 近傍のオペレーターとの緊急時協力
- 英国・ノルウェー間の共同防災協定
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- 環境上の課題
- 海洋生物への影響
- 大気放散(フレア、排ガス)
- 生産水の海洋排出
- 廃棄物管理(堀屑、泥水)
- 化学物質管理
- 距離による緊急時の救出時間の増加
- 距離による緊急対応の遅れ、支援の遅延
- ハリケーンは事前に予測ができるので、対応しやすい。
- 遠隔海域では施設単独で緊急時対応
- 近傍のオペレーターとの緊急時協力
- 越境環境影響については、メキシコ、カナダ、米国政府間協定
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(3) 地質関連 |
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(4) 設備関連 |
- 長距離パイプラインでは、材質選定、モニタリング、ピギング作業等が問題
- 遠隔海域における海底部分での繋ぎ込み作業
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(5) 操業関連
(危険・有害物質管理/廃棄物管理を含む) |
- ヘリコプター輸送に関しては、目的施設に着陸できない場合、近傍施設に変更着陸あるいは帰還するのに十分な燃料を搭載。
- 人員配置/ローテーションは、距離によらない。
- 医療施設は、距離にかかわらず1施設に1医師を配備
- スペアパーツ、ケミカル、燃料、水等を多く保有
- 廃棄物は距離にかかわらず原則的には陸に持ち帰る。堀屑は再圧入
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- ヘリコプター輸送に関しては、目的施設に着陸できない場合、近傍施設に変更着陸あるいは帰還するのに十分な燃料を搭載。
- 人員配置/ローテーションは、距離によらない。
- 救出時間がかかるため施設内の救急医療体制をより整備
- 廃棄物管理は当該海域の規制に基づく。
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(6) ライフサイクル関連 |
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- 遠隔海域では、陸上からの支援が難しいので、操業に際して技術サポートが少なくてすむよう設計時から配慮
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(7) 関連法規/ガイドライン |
- 法規は目標設定型なので距離に係る問題はオペレーターの責任
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- SEMP(安全環境管理計画)の提出を求める場合もある(MMSより)
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(8) 経験に基づく知見 |
- 遠隔海域はこれまで開発活動が行われていない場合が多いので、より慎重なEIAが必要
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- メキシコ湾では沿岸100km以遠の大部分は大水深海域になっており、水深に係る環境・安全対策が重視されている。
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