(1)事業の目的
都市部の地下に建設されている地下鉄、共同溝トンネルといったトンネルでは、都市再開発等による外荷重変化や偏荷重の発生に伴う覆工コンクリートの変状といった事例が発生しており、都市の再生技術として老朽化したトンネルの耐力を増加させる補強技術の必要性が高まっている。また、東日本大震災を教訓として耐震補強のさらなる高性能化も必要とされている。
研究対象とする補強方法は、補強が必要な既設円形トンネルの内側に補強リングを組立て、補強リングと既設トンネルの間にセメントミルク充填用のゴムチューブを貼付け、補強リングを反力装置としてセメントミルク充填による圧力を加えて、既設トンネルを内側から外側へ押す力を与えることを原理とする。
本研究では、この補強技術の成立性を確認することを主眼に、材料選定室内実験によってセメントミルク硬化後の圧力残存状況を確認するとともに、既設トンネル、補強リングや充填材加圧力などをモデル化した構造解析によって既設トンネルに悪影響を与えない加圧力ならびに補強完了後の追加外荷重作用時の補強リングの荷重分担状況を検討するものである。
補強方法概念図
補強工事の施工イメージ