3. 補助事業の概要
(1)事業の目的
地下は、地上に比べて恒温恒湿で騒音がない、地震に強い等の優位性があるので、これらの優位性を利用した地下施設の検討に必要な技術基準のあり方、都市再生への利用方法、地下水・再生水の利用方法、地下道路の防災・維持管理等を検討した適用性等について調査研究を実施して、機械工業に貢献する提言と課題をまとめることを目的とする。
(2)実施内容
「地下特性を活用した地下施設の技術基準に関する調査」(第1部会)、「都市再生のための地下利用に関する調査」(第2部会)、「地下水・再生水を活用した地下利用に関する調査」(第3部会)、「大深度地下道路の適用性に関する調査」(第4部会)の4専門部会を設け、専門部会ごとに、事例調査、国内外資料調査、専門家へのヒアリング、現地調査等を実施して、現状のまとめと課題の抽出、モデル地区の選定等を行って、平成23年度の報告書を作成した。
1)地下特性を活用した地下施設の技術基準に関する調査(第1部会)
低炭素社会を目指して地下施設の利活用が多くの所で検討されているが、それを実現するための技術基準等の方策の整備は十分ではない。
恒温恒湿、騒音が無いなどの地下特性を活用した地下施設を建設する場合に適用される技術基準等について調査するとともに、わが国に適した技術基準等の調査を行い、地下の優位性を活かした新たな地下の利活用方法を探索した。
図1 都市部立体活用にかかわる制度の流れおよび関係
2)都市再生のための地下利用に関する調査(第2部会)
大都市圏、地方都市において老朽化した市街地、遊休地などを再開発する事業が活発に行われる。これらの市街地再開発事業は良質な市街地のストック形成と適切な運営・管理を通じた持続的な価値・向上を追及したエリア・マネージメント手法で進められていくと考えられる。
このような集約型都市へ再生する場合に、地下の優位性を活用して地下施設(商店街、地下駐車場、地下物流施設 等)を建設する方策・防災・環境影響について検討し、モデル地区を設定して具体的な検討をし、地下利用について提言する調査・研究を行った。
図2.1 地下バスセンターの提案
図2.2 大型地下道の提案
3)地下水・再生水を活用した地下利用に関する調査(第3部会)
都市域では揚水規制後、地下水上昇、構造物の浮き上がり現象等も生じ、それらの対策等も実施されてきた。低炭素社会に向けて、地下水を打ち水等のヒートアイランド対策等への活用に加え、さらに有効に活用する方策も望まれている。また、最近、局地的な集中豪雨などによって雨水の処理に困っている地域や洪水災害等も多くなり、雨水処理の対策等も望まれている。
本部会では、このような地下水、雨水、再生水などを有効に活用して、防災のみならず、生活・業務などに活用して低炭素社会を実現する方策について調査し、具体的な提言をまとめる調査研究を行った。
図3.1 内陸型モデルの地下水・地中熱利用施設配置のイメージ
図3.2 沿岸型モデルの地下水・地中熱利用施設配置のイメージ
4)大深度地下道路の適用性に関する調査
道路の地下化の適用性について、その事業性、構築技術、防災対策(洪水、トンネル火災、地震等)を含む維持管理手法の観点につき調査研究を行い、提言を行う。
平成23年度は、平成22年度の成果を基づき、渋滞、混雑状況、鉄道整備計画や各交通関連施策、求められる都市環境に配慮し、整備すべき路線の検討、地下道路の安全性および技術課題検討、便益評価等を行い、大深度利用を含む地下道路の適用性について調査研究、提言を行なった。
図4.1 モデル路線1の検討
図4.2 モデル路線2の検討