第207号/2006.12
■産業プラント操業における土壌汚染リスクのマネジメント・エンジニアリングに関する調査研究」第2回委員会 報告
■ 「IT技術を活用した災害時の救援オペレーションシステムに関する研究」第2回委員会 報告
■熱電発電フォーラム2006 開催報告■
「熱電発電フォーラム」(主催:ENAA、共催:NEDO技術開発機構、後援:経済産業省)が、昨年同様10月31日(火)に代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターにおいて開催されました。
このフォーラムは、 NEDO技術開発機構の助成事業「高効率熱電変換システムの開発」プロジェクトの一環として、最終年度(5年目)の今年は成果の集大成を紹介し、識者にもご講演いただき、熱電変換技術の普及・啓蒙を図り、多様な可能性を持つ熱電変換システムの実用化を推進させることを目的として開催されました。
午後1時にまず主催者側の当協会地下センター所長の入澤常務より挨拶があり、その後、共催者:NEDO技術開発機構の統括研究員 寺本博信様のご挨拶、後援者:経済産業省非鉄金属課長
岩野 宏様のご挨拶が続き、本プロジェクト実用化推進委員長の東京農工大大学院教授 柏木孝夫様より「熱有効利用技術としての高効率熱電変換システム」と題して講演を行っていただき、さらにその後、本プロジェクトリーダーの湘南工科大学学長
梶川武信様より「高効率熱電変換システムの開発」の総括と題して講演を行っていただきました。
これらの講演に先立ち会場の外では12時からポスター・デモ展示も行われました。各企業(石川島播磨重工業,宇部興産梶A鰹ャ松製作所、鞄月ナ、ヤマハ)のポスター及び当協会と(独)産業技術総合研究所(AIST)の共同のポスターも展示されました。各企業はモジュールのサンプルやそれを組み込んだ製品の試作品を展示し成果をアピールしておりました。休憩時間に各ブースの前は、説明を受けようとユーザーサイドの方々が多数集まって盛況でした。やはり昨年と違い、サンプルや試作品が一段と進化しており、参加者は実用化が目の前に至っていることを実感したのではないかと思われます。
一回目の休憩の後は各企業の方々からの講演が続き、場内はさらに参加者が増え用意した椅子が不足し臨時の椅子を準備しなければならないほどの盛況振りとなりました。
この時点で参加者はピークを向かえ合計239名(143団体)の参加人数となりました。(昨年は150名、97団体)。二回目の休憩後は、AISTの小原先生より性能評価技術に関して、さらに東京海洋大学の藤田教授のシステムの多様な活用に関しての講演があり、その後、総合質疑を持って閉会となりました。
閉会後は会場に隣接した場所で懇親会が開催されましたが、これも多くの方々が参加され時間一杯、闊達な意見交換がなされたものと思います。全体を通して、昨年をはるかに超えるご参加をいただき、盛会裏に本フォーラムを終了することができまして、御協力いただいた関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
経済産業省 非鉄金属課 岩野課長 |
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会 場 風 景
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講 演 者 の 皆 様
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地下情報化部会(部会長 吉村和彦 滑ヤ組)では、平成18年11月10日(金)、秋田県の地下利用事例として澄川地熱発電所とマインランド尾去沢を調査しました。
1.澄川地熱発電所(鹿角氏八幡平字切留平)
澄川地熱発電所は、平成7年(1995年)に秋田県で3番目の地熱発電所として運転が開始されました。許可出力は5万kWで、三菱マテリアル鰍ェ蒸気生産・供給を行い、東北電力鰍ェ発電を行っています。発電所の各設備は、地下の温度差を考慮して、地下温度の高い南側に生産井・蒸気温度の低い北側に還元井が配置されています。また、各基地の敷地面積を最小限に抑えることに配慮して、複数の坑井を地下深部に向かって放射状に掘削する工夫がなされています。現地では、生産井・還元井から出ているパイプの径の大きさや、基地から吹き上がっている蒸気に圧倒された他、基地間を結ぶ蒸気輸送管・熱水輸送管が、敷地内道路と並走して遠くまで延びている状況などが印象に残りました。
2.マインランド尾去沢(鹿角市尾去沢字獅子沢)
和銅元年(708年)に発見されたと云われる尾去沢鉱山は、金、銀、銅などを採掘した後、1200年後の昭和53年1978年)に閉山に至りました。今は、開発中に掘削された坑道800kmのうちの延長1.7
kmが観光坑道として整備されています。坑内では、高さ30mもの断崖状の鉱脈採掘跡を当時の状況そのままに見ることができ、また、労働者を模した人形など(服や肌の汚れ方等とてもリアリティーがある)も数多く陳列されており、非常に見応えがありました。出口付近で尾去沢小学校の校歌がイヤホンから流れてきた時には、これをきっかけに、労働者であふれていた頃の活気ある尾去沢と現在とのあまりの情景の違いに想いを巡らせ、感傷的な気分となりました。
最後に本調査に際してご協力頂きました皆様に御礼申し上げます。
情報化部会参加者
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マインランド尾去 沢坑内展示(金山奉行所の再現)
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■「産業プラント操業における土壌汚染リスクのマネジメント・
エンジニアリングに関する調査研究」第2回 委員会開催報告■
11月8日(水) 標記の第2回委員会(委員長:佐藤 雄也 中央大学大学院公共政策研究科教授 同理工学部教授)が当協会の会議室で開催されました。
本調査研究の目的は、操業事業所における漏洩事故等の汚染事例、及びその対応策の事例を収集調査し、土壌汚染に関する未然防止策などリスクマネジメントのあり方を検討し、将来的なマネジメントシステム導入に関する提言を行うことであります。平成17年度事業に引き続き、本年度の事業ではソフト面、ハード面を考慮した統合的なリスクマネジメントシステムについて、その構築と導入の意義を追求するため、以下の内容について調査検討が進められています。
@ 未然防止の効果を客観的に評価するために、自治体等で所有する土壌汚染の原因行為に関する情報を収集し、これらの統計的データをもとに事故原因や要因、その背景を精査する。
A 規制緩和の進展、リスクの多様化、経営管理のあり方の変化、あるいは説明責任の増大など、様々な社会背景の変化と土壌汚染とのかかわりの事例についてとりまとめを行い、企業の未然防止に対する意識を高めることを目的とした調査を実施する。
委員会では、今年度実施された自治体や格付機関、金融機関、保険会社等へのヒアリング結果が作業部会より報告され、活発な意見交換がなされました。
■「IT技術を活用した災害時の
救援オペレーションシステムに関する研究」第2回 委員会報告■
平成18年度、標記の第2回委員会(委員長:山本 幸司、名古屋工業大学大学院教授)が、11月21日(火)に当協会の会議室で開催され、本年度の中間時の調査結果が承認されました。
1. 研究目的
切迫性が指摘される東海地震や、大規模な被害が広範囲にわたると想定される東南海地震等の巨大災害に対して、周辺都市のみならず都道府県界を跨いだ広域的な協力関係による災害時の迅速かつ的確な復旧・復興対応を実施するためのマネジメント戦略について方法論を提起するとともに、広域支援のエンジニアリングのあり方について検討を行う。
2. 今年度の研究内容
主査企業である褐F谷組を中心に、今年度は次の調査研究を行っています。
@ネットワーク構想における課題整理
・新潟県中越地震の問題点把握(行政へヒアリング)
・ 緊急物資輸送業界ニーズ把握(物流、コンビニ業界ヒアリング)
・東海地震を対象とした行政ニーズの把握
・交通情報の提供システムの現況調査
A民間サイドにおける情報ネットワークの概念構築
このうち、@の課題整理については、新潟県・愛知県の行政諸機関、コンビニ・物流業界、道路情報提供機関、道路建設・管理団体等のヒアリング調査を既に終えており、今年度末までに自治体および各業界が有する情報インフラを相互活用した総合的な災害時の緊急輸送ネットワークのオペレーションシステムのモデル構築を目指しています。
10月に丸の内地区の、地下歩行者ネットワークの改修や新規工事の状況を視察した。
東京駅の丸の内側では、「丸ビル」や旧国鉄本社跡地の「丸の内オアゾ」などの建替えが進み、現在、「新丸ビル」が建替え工事中である。東京駅も創建当時の赤レンガ3階建への復元に向けて準備中であり、これに合わせて駅前広場も再整備される計画になっている。
地下では、東京駅から工事中の新丸ビルに向けて、地下広場の拡張工事が進められている。また、丸ビルと新丸ビルを隔てる行幸通りの地下にある丸の内駐車場の改修工事が進められている。この地下2階構成の駐車場の内、地下1階部分を駐車場から歩行者通路に造りかえる工事が進行中である。この新たな歩行者道は、丸ビルや新丸ビルとも連絡される。将来、この連絡路は更に南北にビルの地下を貫く新たな歩行者のネットワークとなるとのことである。
さらに、地下2階部分の駐車場はそのままであるが、地上からの出入はこれまでの行幸通りからではなく、丸ビルや新丸ビルなど、近接しているビルの地下駐車場からのアクセスとなる。この丸の内駐車場を介してビル間の駐車場のネットワークが形成される。これにより、駐車場の地上出入口の整理や、駐車場の効率的な運用が期待される。
行幸通りは中央部分に並木が整備される。この中央の車線は、天皇陛下の行幸の他、外国の新任大使が着任の際に、親任状を天皇陛下に奉呈するために、東京駅から皇居まで馬車を仕立てて通る道としても使われて来た。東京駅の復元と併せて、わが国の顔として相応しい景観形成を目指して整備が進められている。
このように、現在、東京駅周辺では地上と地下の再構築の工事が進行中である。完成の暁には、東京駅丸の内地区はこれまでにも増して観光スポットとして、国内外の多くの観光客が訪れることが期待される。
□第292回サロン・ド・エナ開催のご案内
日 時:平成18年12月20日(水)17:30〜 (於:当協会6階CDE会議室)
講 師:平石 尹彦(ひらいし たかひこ)殿
国立環境研究所地球環境研究センター運営委員会委員(非常勤)
地球環境戦略研究機関(IGES) 理事・上級コンサルタント(非常勤)
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)ビューロー委員
温室効果ガス・インベントリータスクフォース共同議長
大阪大学特任教授(非常勤) UNFCCC CGE委員、EGTT委員等
テーマ: 地球温暖化対策の動向
−地球温暖化対策における市場メカニズム、特にクリーン開発メカニズム(CDM)の役割−
講演 要旨: 京都議定書が2005年2月に発効し、地球温暖化対策の推進が緊急の課題となってきている。
わが国は、2008年から5年間(第1約束期間)の温室効果ガスの平均排出量を1990年比で6%削減するよう義務づけられている。しかし、1990年以降の温室効果ガス排出量の増加により、その達成は厳しい状況におかれている。国際条約の目標達成のためには、温室効果ガス発生源における対策が基本であるが、わが国は既に限界的に削減費用が高くなっているため、市場メカニズムを活用した対策の検討が急務になっている。
そのような状況の中で、CDM事業として、フロン類の回収破壊、廃棄物処理メタンの回収、利用、化学工場からの亜酸化窒素の排出削減等の多くの事業が承認、実施されつつある。わが国も環境省や経済産業省を中心に、民間事業者に対するCDM事業実施のための支援なども積極的に行っている。今回の講演では、欧州、米国、ロシア、中国等の国際的な動向や国内の事例を踏まえながら、CDMを中心としたアジア等との政策的連携等について、本年11月に開催される第12回締約国会議(開催場所:ケニア
ナイロビ)(COP12)の進展などを含め、第1約束期間後の取組みに関する基本的な考え方等についてご説明いただく。
(講演終了後、懇親立食パーティがあります)
申込要領:FAXで事務局へお申し込み下さい。申込多数の場合は先着順で締め切らせていただきます。
地下開発利用研究センター 事務局 中村 (TEL:03-3502-3671/FAX:03-502-3265)
地下センターのホームページ(http://www.enaa.or.jp/GEC/)から直接申込みができます。
舌句雑感:都合により休載します。 |